すごいつらさについて考える(わたしは金正恩)

つらすぎる。

 

なにがというわけでもなく、つらくなること、ないでしょうか。

 

つらくなると、まあ原因を探るけど、結局どうにかするしかない、どうにかならないときはどうにもならないとあきらめるしかない。

 

そんなにかんたんに割り切れること、あんまりないですよね。

 

とりあえず三連休をだらだら過ごすのがうれしくて、けど終わってしまうのがかなしくてつらいけど、だからといって九百連休してたらおかねがなくなってしんじゃうし、おとなつらすぎるとおもうけど、おとなやめるのはほとんどむりだし、解決しない問題にぶち当たってるとしかいいようがない。

 

そこで、オススメなのが金正恩キム・ジョンウン)。

 

彼はすごい。スイスの中学に通って数か国後を話せるし、大学も2つくらい出てる。優秀。しかももともと金持ちだし、なにもしなくても自国の国民からほぼ直接税金というかたちでお金をもらえるので安定してる。

 

しかし、なんといっても、彼の仕事はマジで楽しそう。

 

まず安定してる、成果を出そうが出すまいが、国民は税金をくれる。それに給与はたぶん自国で最高額。知名度もコンサルファームとか投資銀行とかのビッグ案件が話にならないくらい、世界クラスで高い。

 

あとやりがいもすごい。

 

なんてったって、やることなすこと、毎日世界中のメディアに取り上げられる。俺なんて、自分の仕事が日経の小さい面に載っただけで、それから一ヶ月踊り続けられるくらい誇らしかった。正直、会社の不祥事ですら、大衆に注目される場所に自分がいるんだという気持ちになった。それが毎回とは、たぶん頭がバグるくらい楽しいと思う。

 

あと実際の業務も、とりあえずなんでも国家規模だし、国際的だし、手を動かすというより頭を働かせる感じだし、かっこいい。文系の最高峰ともいえる仕事だ。政治と経済を一手に引き受けて、カネとヒトをマネジメントして事業の成長を探っている。極東アジアの小国出身なのに、カラダのデカいアメリカ人やヨーロッパ人とも対等に渡り合う力がある。まさに僕らの憧れるようなグローバル・ビジネス・パーソン。

 

あと、ミサイルはマジで打ち放題。

 

しかも毎回改良してるから、理系としても一番楽しい仕事だと思う。特にミサイルは世界中のメディアも速報流すくらいすごいし、台風とか地震くらい重要視されてる。政治と経済は仕事の規模として大きいけど、サイエンスがやってて一番楽しいんじゃなかろうか。しかも部下はたくさんいるけど、自分で決めて、自分で実行する。仕事の裁量権がはんぱない。

 

しかも、若い。

 

若干33歳。なんか30代で年商何億です〜とか、学生起業家です〜とか、いろいろいるけど、それほんとに彼の前でも言えるのですか。仕事の規模が違う。背負ってる責任はもっと違う。それでいてなんと俺と2歳しか違わない。あと2歳であそこに到達するのは俺にはちょっとむりだ。兄のいない俺からしてみれば、たとえば2歳年上の兄があんな感じだったらへこんでしまうだろう。しかし年齢的には俺と大差ない。同じ世代の人があんなに脚光を浴びている。同世代としては、たとえば物心ついたときから不況でどうしようもないのに「最近の若者は覇気がない」とか老人たちに言われたり、ゆとりとかさとりとかいわれたり、バブル世代のくだらない昔自慢に付き合わされたり、そのくせ「今は厳しい時代なんだ」とかいわれて競争してこなかった連中に競争させられたり、そういう同世代としては、ガツンと一発ミサイルぶちこんでやってジジイがブルブル震えながら年金にぎりしめてどこに逃げればいいのかオロオロしてるのを眺めて胸がスッキリするのを、誰がとがめることができようか。同じつらい思いをしてきた、同世代のなかで、上の世代と戦えることに対する、この高揚感よ。

 

こう考えていると、なんか、胸がワクワクしてこないでしょうか。

 

つらいはつらいんだけど、問題を設定して解決したり、自己催眠かけてココロの安定をはかったりと、まあしかたないことではあるのだが、ときおり、自分が金正恩だったら、という気になると、つらさが消えるというより、とりあえず次のミサイル、下から見るか?横から見るか?とか、アメリカの変な髪型のおっさんツイッターでめっちゃ怒ってる!とか、そういう面白いことに目が向くようになって、こないでしょうか。女子ツイッタラーとかが「池田エライザちゃんとして生まれてきたかった」とかいうけど、それ本気で言ってるのかと。もちろん池田エライザさんはすばらしい人格と類まれな才能のうえで高い知名度のある職業についているとは思うけど、それだったらもっと上を目指したく、ならないでしょうか。

 

やっぱりわたしは、金正恩キム・ジョンウン)。